砥粒加工学会誌
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SUJ2材料のプランジ加工を対象としたサーメット工具の耐クラック特性に関する研究
齊藤 博斗櫻木 拓也吉本 隆志新谷 一博越 正夫大村 雄
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2015 年 59 巻 4 号 p. 205-211

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抄録
高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)は,耐摩耗性および耐疲労性に優れることから,転がり軸受に多く用いられている.転がり軸受部材の加工には,鉄系材料と親和性が低いサーメット工具が用いられ,切刃を押し付けるプランジ旋削により高能率・高精度加工が施されている.一方,この加工法では切刃の接触域が広く,機械的応力と同時に熱衝撃が負荷されるため,熱クラックが生じて工具が短寿命となることが多く,耐熱クラック性の向上が求められている.本研究ではSUJ2のプランジ旋削において,TiCN基サーメット工具における添加炭化物の種類,量および結合金属相量ならびに工具材料作製時の焼結温度が耐熱クラック性に及ぼす影響について工具刃先に発生する熱クラック数と硬質相の微視組織的差異の観点から検討した.その結果,工具寿命に対して,結合金属相量は10vol%で,NbC添加量は5vol%で,また,NbC添加系よりもTaC添加系工具の方が長くなることを示した.さらに,焼結温度に関しては,最も高い1550℃で焼結した工具が長寿命を示した.そして,熱クラックに起因した工具寿命は硬質相のコアーリム構造の発達程度と結合金属相中への炭化物の固溶量に関係していることを明らかにした.
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© 2015 社団法人 砥粒加工学会
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