2018 年 62 巻 5 号 p. 258-263
ラッピング加工では定盤上に供給されるスラリーの挙動によって,ウェーハの寸法精度や研磨能率が影響される.しかしながら,加工部でのスラリーの挙動は上定盤があるために見ることができず,現場作業者の経験に頼ってきた.そこで,本研究では4wayラップ盤の上定盤をスラリー供給用の穴を設けたアクリル板で代替し,加工部を可視化した.そして,その穴からスラリーを溝無し定盤上に供給し,定盤上でのスラリー挙動を明らかにした.また,太さの異なる3種類のチューブを組み合わせて,スラリーに気泡を混入できる供給方法を考案し,定盤上で広がるスラリーに数mmサイズの気泡を含有させることができるようにした.その結果,気泡を含有したスラリーは通常のスラリーに比して2倍弱程度まで定盤上で広がることを明らかとした.また,スラリー中の気泡は定盤とウェーハ間には進入できないため,研磨能率には影響を与えない可能性を示した.