2022 年 8 巻 1 号 p. 57-64
試合を想定した間欠負荷を肩に加えた際の負荷の間に行う手掌への冷却刺激による肩筋力と投動作への影響を分析した.学生8名を対象とした.右肩外転最大等尺性筋力を10回測定し,これを9セット実施した.セット間の5分間は安静とした.9セットの前後での投動作の右肩外転角度を算出した.この手順を冷却「なし」とした.一方,セット間に左手掌を氷嚢で冷却した手順を冷却「あり」とした.肩外転筋力は「なし」で後半に有意に低下し,「あり」はセット間の有意差はなかった.肩外転角度は,「なし」では負荷後に8名全員が有意に低下したが,「あり」は3名のみが有意に低下した.負荷の間の手掌の冷却は試合中の肩外転筋力を維持し,投動作の肩外転角度の減少を防止できる可能性がある.