日本アスレティックトレーニング学会誌
Online ISSN : 2433-572X
Print ISSN : 2432-6623
8 巻, 1 号
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特集
  • 砂川 憲彦
    2022 年8 巻1 号 p. 1
    発行日: 2022/10/31
    公開日: 2022/11/19
    ジャーナル フリー

     本号の特集として「スポーツ外傷・障害・疾病における疫学調査の理解」を取り上げました.安全で安心感のあるスポーツ現場の構築はスポーツ界全体で取り組むべき重要課題の一つであり,近年ではスポーツ外傷・障害の予防や健康管理に関する専門的な教育を受けたアスレティックトレーナーに対する期待が高まっていると感じます.スポーツ外傷・障害・疾病における疫学調査は,安全・健康管理や外傷・障害および疾病予防のための基礎研究として不可欠な取り組みとなります.更に外傷・障害予防プログラム介入による効果検証や,アスレティックトレーナーなどの配置による社会的利益に関する分析を行う際などにも重要なエビデンスとして活用されております.

    スポーツ外傷・障害・疾病に関する疫学調査データの信頼性や客観性,更には調査結果から導き出されたデータの解釈などは,調査を行う際の定義や手法に大きな影響を受けます.しかし,本邦では統一された定義や手法に関するガイドラインが策定されていなかったため,国内におけるスポーツ外傷・障害および疾病の実態を正確に把握することが困難な状況でした.そこで,2020年12月に日本アスレティックトレーニング学会と日本臨床スポーツ医学会は,有識者による合同ワーキンググループを発足させ,2022年4月には「スポーツ外傷・障害および疾病調査に関する提言書:日本臨床スポーツ医学会・日本アスレティックトレーニング学会共同声明」を公開いたしました.

    本特集では,スポーツ外傷・障害・疾病における疫学調査に関する理解をさらに深めていただくとともに,調査を実践する際の留意点や工夫すべき点などについて理解することを目的と致しました.ユーフォリアスポーツ科学研究所の山中美和子先生には,これまでに国内外で発表された合計15編の共同声明についてレビューいただき,調査目的に適した定義や手法を設定するために必要な情報について分かりやすく解説いただきました.大阪電気通信大学共通教育機構の眞下苑子先生には,現在世界で運用されている15のスポーツ外傷・障害調査システムおよび国内で運用されている5つのスポーツ外傷・障害調査システムについてレビューいただき,それぞれのシステムの特徴を分かりやすく解説いただきました.日本女子体育大学体育学部の永野康治先生には,all complaint injuries(症状を有する全ての問題)を調査対象とする際に用いられるOslo Sports Trauma Research Center 質問紙の概要や実施方法,更には調査報告について詳細に解説いただきました.国立スポーツ科学センターの大伴茉奈先生には,2022年に公開された「スポーツ外傷・障害および疾病調査に関する提言書」に記載されている推奨文に沿って,調査時の留意点について解説いただくとともに,より正確な情報を収集するためのポイントなどについても解説いただきました.最後に帝京平成大学人文社会学部の大垣亮先生には,スポーツ外傷・障害・疾病における疫学データの活用方法について紹介いただくとともに,スポーツ現場に関わるステークホルダーとの関わりについて具体例を示し解説いただきました.

    本特集が,スポーツ外傷・障害・疾病における疫学調査活動を推し進めるための一助となり,更なる学術的活動の発展に寄与することが出来れば幸いです.

  • 山中 美和子, 眞下 苑子, 砂川 憲彦
    2022 年8 巻1 号 p. 3-10
    発行日: 2022/10/31
    公開日: 2022/11/19
    ジャーナル フリー

    本稿では,過去に国内外で公表された15編のスポーツ外傷・障害および疾病調査に関する共同声明の内容をスポーツ外傷・障害および疾病の定義,発症(受傷)様式・発症(受傷)メカニズム,発症歴,そしてリスクの評価の観点でまとめた.調査を計画する際に過去に標準化された手法や定義を参考にして調査の目的に応じた方法論を決定することで,比較・統合可能な信頼性の高い疫学データの蓄積につながる.

  • 眞下 苑子
    2022 年8 巻1 号 p. 11-18
    発行日: 2022/10/31
    公開日: 2022/11/19
    ジャーナル フリー

    スポーツ外傷・障害・疾病調査システムは,継続的で質の高い外傷・障害・疾病データを記録するために有用である.世界では,15のスポーツ外傷・障害調査システムがあり,その多くがエリートまたはプロスポーツで運用されている.一方,日本では5つのスポーツ外傷・障害調査システムが運用されているが,保険金給付や見舞金制度をベースにしたものが多く,全国的にスポーツ現場で運用されているシステムは確認されていない.

  • 永野 康治, 吉田 成仁
    2022 年8 巻1 号 p. 19-25
    発行日: 2022/10/31
    公開日: 2022/11/19
    ジャーナル フリー

    Oslo Sports Trauma Research Center質問紙は,調査の対象を’all complaint injuries’(痛みや不調を感じた身体上のすべての問題)とした競技用疫学調査の質問紙である.内容としては特定の障害もしくはすべての身体上の問題について①スポーツ活動への参加,②練習/試合の変更,③パフォーマンス,④痛み(症状)を一定期間ごとに聴取し,有症率や重症度を算出し,その変化をモニタリングするものである.本稿ではその概要と実施方法,主な調査報告について詳説する.

  • 大伴 茉奈, 廣野 準一
    2022 年8 巻1 号 p. 27-31
    発行日: 2022/10/31
    公開日: 2022/11/19
    ジャーナル フリー

    2022年4月に日本臨床スポーツ医学会と日本アスレティックトレーニング学会によって,スポーツ外傷・障害および疾病調査に関する提言書が公開された.この提言書では,我が国におけるスポーツ外傷・障害および疾病調査のあり方について検討した内容がまとめられている.本稿では,提言書の中に記載されている,【スポーツ外傷・障害および疾病調査に関する推奨文】に沿って調査時の留意点についてエビデンスを基にまとめた.

  • 大垣 亮, 陣内 峻, 八田 倫子
    2022 年8 巻1 号 p. 33-41
    発行日: 2022/10/31
    公開日: 2022/11/19
    ジャーナル フリー

    スポーツ外傷・障害・疾病における疫学データは,それらを予防するための具体的な対策を立てるために必要な情報を提供するだけでなく,アスレティックトレーナーとしての活動の成果を裏付ける根拠にもなることが期待される.本稿では,スポーツ外傷・障害・疾病における疫学データの活用方法について,スポーツ現場に関わるステークホルダーとの関わりも含めて概説する.

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