育種学研究
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Research Papers
イネ低アミロース系統の登熟気温による胚乳アミロース含有率変動の系統間差異
舘山 元春坂井 真須藤 充
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2005 年 7 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

複数の低アミロース性母本に由来する系統を供試し,イネの食味に大きく影響する胚乳アミロース含有率の登熟気温による変動を調査した.日本の寒冷地域で作付けされている,「ミルキークイーン」(wx-mq保有),「彩」(du(t)保有),および「スノーパール」の低アミロース性母本に由来する育成系統と,「山形84号」(wx-y保有),「探系2031」,対照としてうるち品種の「つがるロマン」(Wx-b保有)を供試した.人工気象室,ガラス温室および自然条件を組み合わせ,低,中,高温の3つの温度条件で登熟させた時の胚乳アミロース含有率を測定した.「つがるロマン」のアミロース含有率の変動幅は12~23%(高温区~低温区)であり,登熟気温変動1 °C当たりのアミロース含有率の変動幅(Δ AM/ °C)は0.8~1.1%であった.これに対し「ミルキークイーン」由来の系統,ならびに「山形84号」のアミロース含有率の変動は「つがるロマン」より小さかった.一方,「スノーパール」の母本で「ミルキークイーン」や「山形84号」とは異なる Wx座の突然変異による「74wx2N-1」に由来する系統のアミロース含有率の変動は「つがるロマン」より大きく, Δ AM/°Cは「つがるロマン」の1.4~1.9倍であった.「探系2031」のアミロース含有率は,「つがるロマン」と他の低アミロース系統の中間であり, Δ AM/°Cは「つがるロマン」とほぼ等しかった.「ミルキークイーン」由来の系統あるいは「山形84号」と,「74wx2N-1」に由来する系統間に見られるアミロース含有率の温度による変動幅の差は,その保有する低アミロース性遺伝子の違いによる可能性が示唆された.

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© 2005 日本育種学会
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