育種学研究
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7 巻, 1 号
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Research Papers
  • 舘山 元春, 坂井 真, 須藤 充
    2005 年7 巻1 号 p. 1-7
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/03/12
    ジャーナル フリー
    複数の低アミロース性母本に由来する系統を供試し,イネの食味に大きく影響する胚乳アミロース含有率の登熟気温による変動を調査した.日本の寒冷地域で作付けされている,「ミルキークイーン」(wx-mq保有),「彩」(du(t)保有),および「スノーパール」の低アミロース性母本に由来する育成系統と,「山形84号」(wx-y保有),「探系2031」,対照としてうるち品種の「つがるロマン」(Wx-b保有)を供試した.人工気象室,ガラス温室および自然条件を組み合わせ,低,中,高温の3つの温度条件で登熟させた時の胚乳アミロース含有率を測定した.「つがるロマン」のアミロース含有率の変動幅は12~23%(高温区~低温区)であり,登熟気温変動1 °C当たりのアミロース含有率の変動幅(Δ AM/ °C)は0.8~1.1%であった.これに対し「ミルキークイーン」由来の系統,ならびに「山形84号」のアミロース含有率の変動は「つがるロマン」より小さかった.一方,「スノーパール」の母本で「ミルキークイーン」や「山形84号」とは異なる Wx座の突然変異による「74wx2N-1」に由来する系統のアミロース含有率の変動は「つがるロマン」より大きく, Δ AM/°Cは「つがるロマン」の1.4~1.9倍であった.「探系2031」のアミロース含有率は,「つがるロマン」と他の低アミロース系統の中間であり, Δ AM/°Cは「つがるロマン」とほぼ等しかった.「ミルキークイーン」由来の系統あるいは「山形84号」と,「74wx2N-1」に由来する系統間に見られるアミロース含有率の温度による変動幅の差は,その保有する低アミロース性遺伝子の違いによる可能性が示唆された.
  • 田畑 美奈子, 飯田 幸彦, 大澤 良
    2005 年7 巻1 号 p. 9-15
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/03/12
    ジャーナル フリー
    水稲は登熟期に高温に遭遇すると背白米,基白米および乳白米が多発し玄米品質が著しく低下する.本研究は,高温耐性品種育成のために登熟期の高温条件下における背白米および基白米発生の遺伝様式を明らかにすることを目的として行った.高温下での背白米,基白米発生率に顕著な差異がみられる「チヨニシキ」と「越路早生」を交配し,得られたF2,F3世代に高温処理をして背白米,基白米発生について統計遺伝学的解析を試みた.その結果,背白米と基白米発生率の変異分布は異なる遺伝様式を示した.背白米の発生が少ない性質は不完全優性であった.F2世代における背白米,基白米発生に関する狭義の遺伝率は背白米発生で0.350,基白米発生で0.259であり,固有遺伝率は背白米発生で0.536,基白米発生で0.411であった.したがって,これらの形質の改良には,世代を進めて遺伝率を高めてから高温下で発生の少ない系統を選抜する集団育種法が有効であるといえる.さらに背白米と基白米の発生率の間には正の遺伝相関が認められ,これらの形質は同時に改良することが可能であると推察された.また,千粒重,粒長および粒幅の違いが背白米および基白米の発生に及ぼす影響を調査したところ,背白米発生とこれらの形質の間に遺伝相関は認められなかったが,基白米発生と粒長および粒幅とには高い負の相関が認められた.以上のことから,高温下でも玄米品質が低下しにくい大粒品種を育成することが可能であると推察された.
  • 外山 潤, 吉元 誠, 山川 理
    2005 年7 巻1 号 p. 17-23
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/03/12
    ジャーナル フリー
    サツマイモ(Ipomoea batatas(L.)Lam)は家畜飼料として優れた作物であるが,塊根中には抗栄養因子のトリプシンインヒビター(Trypsin inhibitor: TI)を含んでいる.本研究では,サツマイモ品種・系統のTI活性を調査するための簡易迅速測定法を開発し,栽培品種(8品種)および育成途上系統(199系統)の分析を行った.測定は,酵素としてブタ膵臓トリプシン,基質としてBAPA(Benzoyl-D,L-arginine-p-nitroanilide)を用いて比色法で行う従来法の一部を改変し,少量で多検体の分析が可能なマイクロプレートを用いる方法で行った.本法により,サツマイモの精製TI(Sweetpotato TI: SPTI)およびダイズの精製TI(ダイズTI)の活性を測定し作成した検量線は,0-1 μg(検体10 μl中)の範囲で高い精度を示した(R 2 = 0.974: SPTI, R2 = 0.999: ダイズTI).92検体(1マイクロプレート当たり)の分析に要する時間は,試料抽出に30分,TI活性の測定に90分となり,従来法に比べて大幅に短縮された.サツマイモの栽培品種のTI活性は,65-392 U/mg DW(平均: 197 U/mg DW)の範囲であった.一方,育成途上の199系統のTI活性は38-944 U/mg DW(平均: 273 U/mg DW)の広い範囲に分布し,栽培品種よりも著しく高いTI活性の系統が存在することが示された.これらの高活性系統の一部では,TI活性が家畜の耐性閾値を越える可能性があると推定された.
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