抄録
本研究では,栽培稲(O. sativa,キタアケ,AA = 24)と異なるガンマ線量(0 Gy,9.7 Gy,19.4 Gyおよび48.6 Gy)を照射した野生稲(O. punctata,W1564,BBCC = 48)の細胞融合雑種を4個体供試して,in situハイブリダイゼーション法により雑種個体の染色体の構成および構造を解析した.雑種個体の染色体数にはガンマ線照射量(ドース)の増加に伴って減少傾向がみられた.これはキタアケ由来のAゲノム染色体の減少が1つの原因とみられた.また,ガンマ線照射量の増加と共にW1564由来のBおよびCゲノムのシグナルの重複が多数検出された.これらの染色体はガンマ線照射によってW1564由来の2種のゲノム染色体が再編成されたキメラ染色体とみられた.