JSBi Bioinformatics Review
Online ISSN : 2435-7022
総説
分子系統解析の最前線
松井 求
著者情報
ジャーナル オープンアクセス HTML

2021 年 2 巻 1 号 p. 30-57

詳細
抄録

分子系統学は生物学の基盤であり、我々は情報から生物学的知見を取り出す過程で、その恩恵を陰に陽に受けてきた。同時に、分子系統学は革新的な手法やソフトウェアの開発が新たな分野の開拓に直結する、アルゴリズム・ソフトウェア開発者の桧舞台でもある。例えば、1987年に登場した近隣結合法は大規模なTree of Lifeの構築を可能にした。また、MAFFTやIQ-TREEといった高速かつ高精度なソフトウェアは、BLASTが情報生物学の基盤技術であるのと同様に、進化学を下支えする必要不可欠なインフラとなっている。本総説では、まず分子系統学を構成する「標準手法」の理論と実装を解説する。さらに近年勃発した「標準手法」をめぐる論争をまとめ、最後に、現時点でできる最善の分子系統解析アプローチについて議論しながら、将来の生物情報学者、進化学者、アルゴリズム・ソフトウェア開発者をこの魅力的な分野へといざないたい。

著者関連情報
© 2021 日本バイオインフォマティクス学会

This article is licensed under a Creative Commons [Attribution-NonCommercial-ShareAlike 4.0 International] license.
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/
前の記事 次の記事
feedback
Top