日本急性血液浄化学会雑誌
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技術・工夫
持続的血液濾過透析における加温法と設定条件が返血温へ与える影響
長末 鉄平江間 信吾水口 智明中島 芳樹加藤 明彦
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2020 年 11 巻 2 号 p. 133-137

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抄録

血液浄化療法による体外循環では,外気温により自然冷却されるため返血温は低下する。血液浄化装置は,これを予防するためにさまざまな加温法を有している。しかし,各種装置による加温法,設定条件の違いが返血温に与える影響については明らかではない。今回,ACH-Σ(以下Σ):流入液加温型とプリズマフレックス(以下PF):血液回路加温型の2種類の血液浄化装置を使用し,加温法と設定条件の違いによる返血温への影響について検討した。実験は25℃の外気温とし,37℃に加温された水をそれぞれの血液ポンプで循環させた。血液流量,補充液流量,透析液流量をそれぞれ変化させた時の返血温を測定した。室温25℃の透析液,補充液流量を増加させると,これらが直接血液に流入するPFで返血温度の低下が大きかった。また血液流量のみ変化させた条件では,血液流量の増大とともに両装置において返血温は上昇した。外気との接触時間短縮による影響と考えられたが,PFでは返血回路を直接加温するため,低血液流量での温度低下は軽度であった。各血液浄化装置の加温方法を理解することにより,持続的血液濾過透析設定条件変更による軽度低体温のリスクを軽減できる可能性が示唆された。

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© 2020, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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