2024 年 15 巻 2 号 p. 98-104
心不全と腎不全は共通する部分があり,両者の合併は日常診療でもしばしば経験する。心不全に合併する腎障害の病態として腎虚血だけでなく腎うっ血も含まれており,後者の場合,除水が腎不全にも有用である。除水の手段として利尿剤やextracorporeal ultrafiltration method(ECUM)があるが,過剰体液を速やかに解消する必要があるにもかかわらず,利尿剤の投与後腎機能が低下し,利尿が得られない場合にはECUMが必要となる。除水能力や安全性においてECUMは利尿剤よりもすぐれているという報告がある一方,治療時間や除水量が増えるにつれて安全性や腎予後が悪くなる報告もあり,腎虚血に留意して治療時間や除水量の調整が必要である。利尿剤においても腎虚血併発に留意した薬剤の選択が腎予後のために必要である。腎うっ血の有無にはCVPが参考になるが代替する簡易に判断できる指標が今後待たれる。