抄録
若年女性を対象に,5基本味の味覚官能検査と食物摂取状況,食生活について質問紙調査を実施し,3年間の味覚感度の経年変化と食生活との関連について検討した。結果,5基本味の認知閾値において,4年次は1年次に比べて低くなった。うま味の認知閾値は高学年ほど低く,すなわち味覚感度が上昇した。5基本味すべての味覚感度が上昇した群は,食生活においても1年次よりも4年次は薄味を好み,食品の購入時や外食時に栄養成分表示を見る者が多く,健康や栄養に関する情報を得る行動をする者が多かった。健康や栄養に関する食意識や食行動は学習を重ねた結果,経年で向上したことが示唆された。