2014 年 5 巻 1 号 p. 92-95
症例は発熱,左半身の間代性痙攣が主訴の4歳の女児である。高サイトカイン血症(血清IL-6 36,144pg/mL,髄液IL-6 2,455pg/mL)を伴った痙攣重積型急性脳症で予後不良と予測された。ステロイドパルス療法や大量免疫グロブリン療法に抵抗し,多臓器不全の増悪を認めたが,血漿交換とサイトカイン除去膜を用いた持続的血液濾過透析を施行し救命できた。頭部MRI拡散強調画像で右大脳半球皮質下白質の高信号域を認め,片側痙攣―片麻痺症候群と診断した。入院の約2.5ヵ月後に自力歩行可能な状態まで回復して退院した。血液浄化療法はサイトカイン除去の有効な手段であり,インフルエンザ脳症治療ガイドラインに,特殊治療としてあげられている。急性脳症・脳炎において,血液浄化療法によるサイトカイン除去は,高サイトカイン血症を急速に改善することで組織障害の進行を阻止し,予後を改善する可能性がある。