日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
症例報告
集学的治療を要した劇症型G群溶血性連鎖球菌感染症の4例
加藤 徳介大沼 聖子萩原 祥弘大森 里紗久野 芳裕本田 浩一三宅 康史吉田 仁柴田 孝則
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2014 年 5 巻 2 号 p. 145-148

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抄録

われわれは,集学的治療を要した4例の劇症型溶血性連鎖球菌感染症を経験した。臨床的特徴として,すべての症例が慢性腎臓病や肝硬変などの基礎疾患を有する中高年男性で,血液からG群溶血性連鎖球菌が検出されていた。主訴は発熱・意識障害・体動困難であり,感染源は1例で不明であったが,その他の症例は閉鎖性化膿性疾患であった。3例でCRRTを中心とした急性期血液浄化を施行し,そのなかでも重症度が高く,白血球と血小板の低値を認めた2例は不幸な転帰をたどった。これらの特徴は過去の報告に合致するものであった。近年,劇症型G群溶血性連鎖球菌感染症の報告数は増加傾向にあり,発症早期の致命率が高い重篤な疾患であることが認識されている。基礎疾患を有する中高年患者が,発熱・意識障害・体動困難といった主訴で外来を受診した際には,劇症型G群溶血性連鎖球菌感染症を念頭に置き,早期診断・治療にあたることが重要と考えられた。

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© 2014, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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