2016 年 7 巻 2 号 p. 102-107
急性血液浄化領域では,血液透析器と類似形状の血液濾過器が用いられるが,血液透析に比して血液流量が半分以下の条件で使用されることが多く,血液が中空糸に均等に分散していない可能性が考えられる。中空糸毎に血流量が異なれば,局所での濾過流量が異なることも予想される。本研究では血液側に色素粘性溶液を灌流し,濾過器の断面観察による血液分散評価法と,中空糸内表面の観察から局所での濾過状況の評価法について検討した。その結果,血液濾過器エクセルフローとヘモフィールでは断面部位により染色状況に差がみられ,流量に分布のある可能性があることが分かった。さらに,中空糸の長さ方向の位置によっても染色分布があることから,濾過流量が異なることが考えられた。以上のように,血液濾過器の血液側に粘性色素溶液を灌流するという簡便な手法で,血液分散の状態や濾過流速分布を観察・評価できる可能性が示唆された。