2017 年 8 巻 1 号 p. 84-87
【症例】63歳の女性。8日前より39℃の発熱と下痢症状があり,近医に感染性腸炎として検査入院した。血小板数減少と骨髄血球貪食像を認め,細菌感染からの続発性血球貪食症候群(HPS)疑いと,敗血症とDICの加療目的に当院へ搬送された。HPSに対するステロイドパルス療法施行中に敗血症性ショックとなったため,サイトカインなどのメディエーター除去目的にPMMA-CHDFと,エンドトキシンなどの他のメディエーターの除去・制御目的にPMX-DHPを直列回路で施行したところ,開始時,24時間後,48時間後の収縮期血圧(mmHg)は75,110,130と上昇し,CAIは11.6,6.1,3.9と減少,時間尿量(mL/h)は70,98,120と増加した。循環動態は速やかに改善し,HPSの病態自体も鎮静化の方向へ向かった。【結論】HPSは高サイトカイン血症が背景病態と考えられており,細菌感染による続発性HPS発症時のサイトカインなどのメディエーター除去や制御目的にPMMA膜を用いたCHDFとPMX-DHPが有効であった。