抄録
夜間睡眠が,子どもの認知・情動機能に与える影響について展望した。既存の研究によれば,睡眠時間短縮,睡眠効率低下の影響は,前頭前野を中心となした神経ネットワークによってになわれる高次認知機能を低下させることが明らかになっている。しかし,睡眠が高次認知機能に与える影響は,子どもの発達段階によって異なる可能性が指摘されているほか,社会経済的階層などの因子と複雑に関係している。以上のように,夜間睡眠が子どもの認知・情動機能に与える影響を議論するに際しては,子どもの年齢・バックグラウンド情報を加味した検討が必要である。