日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
ECT と TMSの作用機序に関するPET 研究
高野 晴成
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2012 年 23 巻 2 号 p. 137-142

詳細
抄録

陽電子放出断層撮像法(PET)は電気けいれん療法(ECT)や経頭蓋磁気刺激法(TMS)の作用機序の検討に用いられている。われわれはPETを用いてECTの全般性けいれん発作最中の脳血流を測定し,脳幹や間脳で特に有意な増加を示し,発作の全般化に関して中心脳の重要性を示唆した。また,発作後10分以降では前部帯状回,内側前頭部で低下し,視床で増加しており,これらの部位の重要性も示唆された。PETにより神経伝達機能をみた研究では,ECT の 1コース治療前後で,セロトニン1A受容体の結合能には変化はみられなかったが,ドーパミンD2受容体では前部帯状回の低下,セロトニン2受容体では皮質領域の広範な低下が示されている。また,急性のTMS刺激ではドーパミンの放出の増加が報告されているが,うつ病患者を対象とした1コースの治療前後では線条体のD2受容体結合能およびドーパミン生成能に変化はみられなかった。

著者関連情報
© 2012 日本生物学的精神医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top