抄録
本稿は,「ケアと研究の出会い」という日本老年行動科学会の特色を踏まえながら,地包括ケア政策の現場における実践者と研究者の協働のための人間関係的条件を明らかにする
ことを目的としている。地域包括ケア政策の理念の下で展開される生活支援体制整備事業を通じて得られた,実践者2 名が経験した研究者との協働実践事例をもとに,理論的な検討を行った。その結果,実践者と研究者の協働のためには制度的な枠組みだけでなく,遠慮を乗り越え対等な人間関係を築くための対話の重要性を両者が理解し,その対話を出会いの段階から意識的に実行し,相互の役割理解を確かめながら,信頼関係を深めていくことが効果的であると示唆された。さらに,社会福祉法人の「地域における公益的な取組」が参照されつつ, Evidence-Practice Gap を補う一方法としての有機的な協働の可能性についても示唆された。