日本救命医療学会雑誌
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Print ISSN : 1882-0581
症例報告
多発外傷に対してAndexanet alfaを投与し, 脳梗塞を発症した一例
菊池 仁佐竹 幸輝安藤 尊康平湯 恒久鍋田 雅和高須 修森岡 基浩
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2025 年 39 巻 p. 44-48

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抄録
 Andexanet alfaは生命を脅かす出血または止血困難な出血の発現時に抗凝固作用を中和すべく使用されるが, 血栓合併症が報告されている. 今回Andexanet alfa使用後に脳梗塞を発症した多発外傷の症例を経験したので報告する. 症例は83歳男性. 直接作用型第Xa因子阻害剤を内服中で, 作業中に誤って高所より転落し, 受傷した. 精査で造影剤漏出像を伴う左急性硬膜下血腫, また右腸腰筋内に造影剤漏出像を伴う血腫を認めた. 血腫増大リスクが高いと判断しAndexanet alfaを投与した. 右腸腰筋内の出血には動脈塞栓術を施行し止血を得た. 術後血腫の増大は認めなかったが, 受傷翌日の頭部CTで多発性脳梗塞を認め, 意識障害は遷延化した. 脳梗塞の原因は, 中和剤の使用によるもの, 外傷による凝固系活性に伴う血栓形成などが考えられた. Andexanet alfaは止血効果がある一方で, 血栓合併症をきたす可能性があるため, 投与においてはベネフィットリスクバランスを考慮し, 適応症例を慎重に判断する必要がある.
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