2020 年 1 巻 J1 号 p. 373-381
点検対象となる橋梁は年々増加傾向にあり,省人化を実現する新たな技術の導入は喫緊の課題である.近年,土木分野においてもその利用に注目が集まる機械学習の1つである畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を適用することは,有効性の高い点検支援の手法の1つであると考えられる.本研究では,機械学習としてCNNを適用した鋼橋の腐食検出器となる学習モデルを構築する.学習モデルは福島県が実施した道路橋点検結果の状況写真をトレーニングデータとし,喜多方地区における実橋で現地調査を実施した結果をテストデータとして,構築される学習モデルによる腐食検出精度を評価した.その結果,学習モデルは一致率の検定結果から実用上の分類精度を有しており,またトレーニングデータにおける腐食ラベルの割合の増加が精度向上に寄与することが判明した.