2020 年 1 巻 J1 号 p. 522-529
コンクリート構造物の劣化に伴う剥離やひび割れを簡便に知る方法として,打音探査は広く利用されている.しかし,その探査精度は技術者の技量や経験によるところが大きく,定量的・安定的な評価が難しい.ここでは,打音探査の定量化を目標として,機械学習による打音判定の検討を行った.具体的には,スペクトログラム変換により打音を画像化し,畳み込みニューラルネットワークにより分類した.本法を模擬欠陥を与えたコンクリート試験体及び塩害劣化した実構造物で試験を行い,軽量なデータにより熟練技術者と同程度の精度でコンクリートの欠陥を診断可能であること,また得られたニューラルネットワークには一定の汎化性能が認められることなどを示した.