2020 年 1 巻 J1 号 p. 530-535
本研究では,鋼製フィンガージョイントを対象に,定期点検の間に発生する変状の兆候あるいはその初期段階を発見する手段として,点検者の点検技術と補完し合い異常を検知するシステムの構築を目指し,車内に発生する通過音に基づいた異常検知を検討した.はじめに,溶接部の損傷を模擬した伸縮装置の通過音から損傷に起因する通過音の傾向を明らかとした上で,この傾向を基に供用中の伸縮装置の損傷を評価できる可能性があることを示した.続いて,経時的な通過音の収集として約1年後の通過音の計測を実施し,通過音の傾向の比較から,損傷に至るまでの伸縮装置の通過音のデータを蓄積することで,通過音による異常検知が可能となる可能性を見出した.