2020 年 1 巻 J1 号 p. 545-553
老朽化が進む橋梁の維持管理のため,2014年より道路管理者に5年に1度の近接目視点検が義務付けられた.しかし財源や人員が不足する自治体では,継続的な近接目視点検が困難な状況である.そこで代替手法による点検の研究が進められている.我々は,橋梁画像から画像認識で損傷検出する「損傷点検支援システム」を開発した.画像による点検は,効率化・省力化に期待ができる一方,膨大なデータ量の橋梁画像の伝送には,高速通信が求められる.本研究では,システムへの橋梁画像伝送に5Gを活用し,模擬遠隔橋梁点検における画像伝送の時間計測を行い,橋梁現場と遠隔地を連携させた遠隔橋梁点検の有用性を検討した.また,システムの活用可能性や課題について橋梁点検者にヒアリングを行い,遠隔橋梁点検におけるコミュニケーションの課題を把握した.