2021 年 2 巻 J2 号 p. 47-54
鉄筋コンクリート(RC)部材では,鉄筋腐食が発生するとその表面に腐食ひび割れが現れる.腐食ひび割れは,RC部材内部の鉄筋腐食量を推定するための貴重な情報となり得るが,腐食ひび割れ幅は,その直近にある軸方向鉄筋の腐食量のみではなく,その周辺にある軸方向鉄筋の腐食の影響も受けるなど,腐食ひび割れ幅の分布とRC部材内に生じている空間的な鉄筋腐食量の分布は極めて複雑な非線形の関係にある.本研究では,擬似的に作成したデータベースとpix2pixを用いることにより,腐食ひび割れ幅の分布から,RC部材内部に生じている2次元鉄筋腐食分布を推定した.ケーススタディでは,鉄筋腐食分布の推定と非線形有限要素解析に介在するモデル誤差を考慮することで,腐食ひび割れ幅の分布が与えられたとの条件下で対象劣化RCはりが保有する曲げ耐力の確率密度分布を提示した.