2021 年 2 巻 J2 号 p. 733-740
近年,高度経済成長期に集中して建設された社会資本は,建設後50年を経過する割合が急激に増加する.その社会資本の中でも道路橋は,約6割を占めることから日々の点検作業が急務になっている.これにより,道路法施行規則が改正され,5年に1回の頻度で近接目視点検が義務付けられたが,構造物内部の損傷が確認できないため,非破壊検査が同時に行われている.非破壊検査の中でも打音検査は,安価かつ容易に実施できる手法であるため,一般的に良く実施されている.しかし,打音検査は点検者の聴覚に基づく手法であるため,点検結果にばらつきが生じてしまう課題がある.
本研究では,打音検査を客観的に判定し,打音検査における健全と欠陥の正確な識別方法の検討を目的に,機械学習を使用し,コンピュータによる打音検査の識別を試みた.