2022 年 3 巻 J2 号 p. 35-46
本研究では,AI技術を用いた腐食ひび割れの打音判定において教師データ,テストデータ収録時の打撃条件が判定結果に及ぼす影響について検討を行った.腐食ひび割れが生じたRC供試体への打音を収録し,ニューラルネットワークによって腐食ひび割れの有無を判定する実験を行い,教師データとテストデータでの最大衝撃力の違いや最大衝撃力のばらつきの範囲が判定結果に及ぼす影響について考察した.その結果,両データ間で最大衝撃力が同程度の場合には最大衝撃力が大きいほど正解率が向上し,両データ間で最大衝撃力が異なる場合や両データの内いずれかの最大衝撃力のばらつきの範囲が広い場合には正解率が低くなり,打音収録においては最大衝撃力を大きく,ばらつきの範囲を狭くした上で両データ間の最大衝撃力を同程度にすることが望ましいことを明らかにした.