2022 年 3 巻 J2 号 p. 23-34
機械学習とハザード評価に基づく,豪雨時の斜面崩壊危険度評価および対策優先度判定手法を提示する.リサンプリングにより機械学習用データの不均衡問題を改善し,ランダムフォレストおよび LightGBM を 用いて,降雨の時間変化を考慮した雨量指標や地形・土壌・地質・植生に関する種々のデータを説明変数とする斜面崩壊予測モデルを構築する.一般化極値分布を用いたハザード評価により得られる確率雨量指標(再現期間に対する雨量指標の期待値)を予測モデルに入力することで,再現期間に対応する斜面崩壊発生箇所を推定する.各機械学習手法の分類精度を検証した結果,LightGBMによる予測モデルが防災上優れた精度を示すことが確認された.ケーススタディでは,提案手法により再現期間に基づく優先度を設けた段階的な斜面防災対策の立案が可能であることが示された.