2022 年 3 巻 J2 号 p. 764-773
日本では,高度経済成長期に大量に整備されたインフラの老朽化や自然災害による橋梁への損傷が懸念されている.近年,機械学習として畳み込みニューラルネットワークを適用し,橋梁の損傷検出に関する研究が進められているが,トレーニングデータの効率的な整備が課題とされている.本研究では,福島県が実施した道路橋点検結果より,既往の研究によって抽出されたトレーニングデータに,左右反転,コントラスト強調,コントラスト低減,ヒストグラム平坦化の4種類の前処理を施し,未調整のトレーニングデータと前処理後の画像を統合してトレーニングデータの拡充を図った.その結果,未調整のトレーニングデータにコントラスト低減したトレーニングデータを統合して構築した学習モデルでは,トレーニングデータが約1.5倍増加することにより,腐食の分類正解率は約7%向上することが判明した.