2023 年 4 巻 3 号 p. 125-134
鉄道設備の維持管理の効率化を目的とし,分野ごとに取得してきた検査データの横断的活用が求められるが,その実証事例は多くない.本研究では,高速鉄道における電車線路設備の異常と橋りょうの共振の相関に着目したうえで,軌道変位を用いた共振橋りょうの抽出法を活用し,車上計測された軌道変位から共振橋りょうを介して電車線路設備の要注意箇所を抽出することを試みた.実路線での検証の結果,過去の電車線路設備の異常記録箇所17箇所のうち,13箇所が車上計測により共振橋りょうとして抽出されるなど,地上からの検査に先だった1次スクリーニングとして有効であることを実践的に示した.