2023 年 46 巻 5 号 p. 113-122
集団感染症が報告されていない平常時において, 小学校やスポーツクラブなどのプールを対象に糞便汚染指標細菌・ウイルス, 腸管系ウイルスやレジオネラ属菌の検出を試み, 微生物汚染の実態調査と汚染要因の検証, 汚染指標の有効性評価を行った。利用状況等の条件によっては指標微生物の検出率が高くなった。大腸菌, F特異大腸菌ファージは培養法で検出され, 現行の管理手法では完全な不活化は困難だと考えられた。Pepper mild mottle virus, cross-assembly phageや, ヒト特異的なバクテロイデス属菌の遺伝子マーカーであるHF183は高頻度で検出され, 特にcross-assembly phage, HF183は水質管理下のプールにおいてもヒト糞便汚染指標としての有効性が示唆された。腸管系ウイルスは不検出であったが, 感染者の利用により, 感染力を保持したウイルスが滞留する可能性が示された。