2023 年 4 巻 3 号 p. 135-141
国土交通省が管理する橋梁は5年に1度の近接目視による点検が義務づけられており,現場で撮影した写真を基に,技術者が膨大な時間をかけて要素ごとの損傷程度を判定している.本作業にAI(人工知能)を活用し,損傷画像から損傷程度を推定することができれば,直轄業務における橋梁定期点検調書の作成作業の効率化・高度化が可能となる.そこで本研究では,AI技術の一種であり,高度な画像解析能力を持つ深層学習を活用し,直轄橋梁のコンクリート床版の剥離・鉄筋露出,および鋼主桁の亀裂の点検画像から,損傷程度を判定するモデルを開発した.その結果,従来は困難であった,橋梁定期点検要領の損傷程度区分に対応した高精度分類が可能となった.