2023 年 4 巻 3 号 p. 571-581
車載カメラの取得画像から電柱の設備状態を検査する方法は,点検員の現地訪問作業を削減できることから維持管理の低コスト化に有効である.本稿では,沿道画像から電柱の立地区分を判定するための畳み込みニューラルネットワークベースの画像認識手法を提案する.提案手法は電柱と官地・民地の領域を画素レベルで検出する物体検出モデルに加え,電柱の立地区分を官地,民地もしくは立地場所判断不可(要確認)の3つの区分で判定する関係性認識モデルを組み合わせた独自の構造を有する.検証の結果,撮影した242本の電柱を96.7%の精度で検出でき,3区分による立地判定の正解率は84.2%,官地の判定では91.9%(Recall)という高精度で判定可能であった.提案手法は点検員による最終判断前の一次判定に十分に活用できる.