2024 年 5 巻 1 号 p. 204-211
道路空間をデジタルツインに再現し分析を行うために交通参加者の位置を観測する手法として,道路を 撮影した映像に対して一般物体認識を適用することが挙げられる.しかし,道路映像において小さく撮像されやすい二輪車の認識精度に課題がある.そこで本稿では,道路映像全体に対して一般物体認識と姿勢推定を適用し,二輪車そのものに加え,二輪車を運転する人間の姿勢にも着目した識別を行う手法を提案する.提案手法ではまず,道路映像に対して一般物体認識と姿勢推定を適用する.次に姿勢推定から得られた姿勢データを追跡する.ゴーストを除去したうえで,全身運動を表現する特徴ベクトルを入力とする OCSVM を構築することで,歩行者と二輪車運転者を分類する.次に,抽出された二輪車運転者について,ペダリング動作の有無を表現する特徴ベクトルを入力とするSVMによって自転車,バイクに識別する.この姿勢推定に基づく識別結果を一般物体認識の識別結果と統合することで,一般物体認識で認識できなかった二輪車を識別することが可能となり,精度向上が期待できる.本稿の最後では,実際の道路映像を用いた実験によって,提案手法の有効性を確認する.