2024 年 5 巻 3 号 p. 194-202
3次元測量やモデリング,平面2次元河床変動解析モデルの普及により,従来の河川設計で課題とされてきた治水・環境・景観を並行して検討することや時間変化を考慮することが可能となる.本研究では,二時期の ALB データを有する河川を通じて,多自然川づくりの理念に沿った河川設計の質の向上に対する有効性や課題を検討した.その結果,設計評価に用いるモデルが二時期の ALB データで検証可能となったことでより確からしいデータに基づいた条件設定によって河床変動モデルの高精度化を適切に図ることができる.これらは設計に対する多面的な評価において正の影響を与えるが,一方で,設計評価モデルの土台となる平面 2 次元河床変動解析の評価指標や,環境評価における水理量の閾値の取扱いについてより深い検討が必要であることが明らかとなった.