2024 年 5 巻 3 号 p. 316-327
本研究は,ニューラルネットワーク(NN)モデルを用いた打音による鉄筋腐食の多クラス分類手法の適用性について検討するとともに,教師データセットの構成条件(データ数,誤ラベルデータの混入)や NNモデルの中間層ノード数が分類結果に及ぼす影響について検討を行ったものである.三つの出力ノードを有する NN モデルを用いることで,鉄筋腐食を極初期段階(腐食率 1%),腐食が進行した段階(腐食率 6%),腐食無し(健全)の 3 クラスに分類可能であることを確認した.また,分類精度の向上のためにはできるだけ多くの教師データを収集することが望ましく,反対に NN モデルの中間層ノード数が過剰な場合や教師データセットに正常ラベルと整合しない誤ったデータ(誤ラベルデータ)が混入すると,分類結果が低調となる傾向を確認した.