2024 年 5 巻 3 号 p. 328-336
土木構造物の維持管理において,数値解析を用いた耐荷性能の評価を効率的に進めることが課題である.本研究では,近年取得や蓄積が進む点群データから直接的に耐荷性能を推定することで,効率的に構造物 の耐荷性能を評価する手法について検討した.構造物の点群が有する形状的特徴から耐荷性能に関する指標を推定する深層学習ネットワークを提案し,H 形鋼の単純梁を想定した仮想的な点群のデータセットから学習を行った.耐荷性能として断面二次モーメントや降伏耐力を対象として推定を行い,推定結果と幾何形状から求められる真値との比較検証を行った.その結果,推定した断面二次モーメントや降伏耐力は真値に対して 20%程度の範囲の誤差で推定可能であることを確認し,本手法の耐荷性能評価への適用性を示した.