2025 年 6 巻 2 号 p. 1-24
2016年から理化学研究所のインフラ管理ロボット技術チームでは,AIによるインフラ維持管理への応用を研究している.その間,深層学習や基盤モデルなどによってAIは著しく進化した.基盤モデルは大量のウェブデータを事前学習した大規模ニューラルネットワークで,学習後にタスクを決めることができ,汎化性能が高い.その中核技術は大規模言語モデルで,与えられた文章の文脈を踏まえた上で次の単語を予測する.さらに現在は,思考ステップを踏まえて回答する推論モデルにパラダイムシフトしている.このように AI はますます性能が高まり,人間が言語化してきた知識のうち,ウェブ上で入手できる形式知はかなり学習できている.しかし,最先端のマルチモーダルAIでも,言語化が困難な暗黙知・身体知・直感などには対応できず,今後の課題となっている.