2025 年 6 巻 3 号 p. 56-63
近年,都市のヒートアイランド対策として街路樹等のグリーンインフラが注目される一方で,コスト面から街路樹等が撤去されたり,新規整備されなくなるといったケースが増えつつある.その背景として,道路空間における街路樹等の緑の効果が十分に検証されず,その機能・価値が評価されていないことがあると考えられる.そこで本研究は,道路空間において地表面温度に与える要素として,緑と沿道建物に注目し,その関係性を検証した.その結果,単純な一次線形回帰モデルではなく,条件によって各要素の作用の仕方が異なる可能性が示唆された.また,広域な都市域スケールに比べると,道路空間のような局所的なスケールにおいては,緑被の影響が相対的に強いことが確認された.