2023 年 2 巻 1 号 p. 86-95
近年,橋梁の老朽化の進行とその対応が社会課題となっており,限りある人員や体制,予算内で持続的かつ適切に維持管理に取り組む必要がある.中でも橋梁付属物である支承は上部工の荷重を下部工へ伝達する重要な部材であり,漏水の影響を受けやすい桁端部の過酷な使用環境に設置されるため,支承機能の不全が懸念される.支承そのものの健全性を目視点検のみで的確に評価することは困難である.そこで,本稿では光学振動解析システム(動画像を用いた遠隔・非接触変位計測手法)に着目し,支承補修が必要な既設PC橋梁の宿坊大橋(以下,当該橋梁)において,10t積ダンプトラック2台が橋梁上を通過する際に発生する桁・支承の変位量を動画像より計測した.計測結果より,当該橋梁の支承の機能は維持され,調査結果の妥当性が確認できたため,その措置方針と合わせて報告する.