2025 年 4 巻 1 号 p. 175-181
予算等のリソースが不足する地方公共団体では,健全性区分III橋梁を一律に補修対応することが困難であるため,新しい維持管理方法の確立が必要である.そこで,新しい評価軸『措置優先度値:K値』を導入し,詳細調査が必要と判断される橋梁の性能評価を行い,措置を補修/モニタリング/経過観察,健全性区分見直しに分類する新しい再評価方法を提案した.本法実現のためには,K値の決定要因,詳細検討領域の設定,耐荷性・耐久性の詳細調査方法・評価基準の確立が必要である.本研究では,特定の地方公共団体を対象とし,本法の有効性,実用性を検討し,課題を抽出した.その結果,K値の見える化,詳細調査が必要な橋梁の選定方法の可能性を示した.一方,K値配点比率や決定要素の再検討,詳細検討領域の設定方法の必要性が明らかとなった.