2026 年 5 巻 1 号 p. 319-327
筆者らは,注入式接着系あと施工アンカー工法において,あらかじめアンカー筋に装着するだけで施工品質の確保と施工効率の向上に寄与するクリップ型の固定部材(以下,クリップ型ばね)を開発した.クリップ型ばねは,全ねじボルトと異形棒鋼の両方のアンカー筋に装着でき,アンカー筋を孔の中央に設置する「スペーサー機能」と,接着剤が硬化するまでの落下やずれを防止する「ストッパー機能」を発揮する.本論文では,クリップ型ばねの技術概要と性能試験の一例について述べた後,実際の橋梁耐震補強工事に適用した事例について示す.当該工事では,既設コンクリートに水平力分担構造や落橋防止構造を取り付けるためのあと施工アンカー工法にクリップ型ばねが適用され,従来に比べて工期短縮や人工縮減を達成し,施工効率が向上したことが確認された.