2022年5月の国土交通省の報告によれば,全国には約9700橋の管理者不明橋が存在している.これらは5年ごとの定期点検の対象から外れており,性能が低下したまま適切な処置が実施されていない可能性がある.よって,構造物の品質低下(健全性,耐荷性能等)が懸念されるなど,利用者にとっての危険性が高い.そこで本稿では,ある管理者不明橋を対象に,鉄筋コンクリート床版の耐荷性を評価するための各種試験(載荷試験,小径コア試験等)を実施し,当時の設計基準以上の値を確保していたことから,現時点で緊急の補修対応や通行規制等の必要性は低いことを確認した.