インフラメンテナンス実践フォーラム
Online ISSN : 2759-0240
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投稿レポート
  • 小原 雄一, 橋本 浩市
    2025 年2 巻1 号 p. 1-4
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/02/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

     青函トンネルは, 本州方の青森県と北海道を結ぶ総延長53.85kmの長大海底トンネルである(図-1). 1964年1月に日本国有鉄道が北海道方にある吉岡調査斜坑の掘削に着手, 同年3月に日本鉄道建設公団(以下, 鉄道公団)が事業を継承し, 24年の歳月を経て1988年3月13日に津軽海峡線の一部として, 世紀のビッグプロジェクトであった青函トンネルの供用が開始された.

     その後, 2016年3月26日の北海道新幹線(新青森・新函館北斗間)の開業にともない、世界でもあまり例のない3線軌による新幹線と在来線の共用走行を行っている.

     青函トンネルは, 開業から36年が経過した現在, 本州と北海道を結ぶ重要幹線として安定した輸送を確保しており, 極めて重要な国民の財産である. 本稿では、青函トンネルの維持管理について述べる.

  • 筒井 宏亮, 古賀 掲維, 小林 徹, 藤嶋 誠, 高江 優介, 松田 浩
    2025 年2 巻1 号 p. 5-9
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/02/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

     道路インフラの老朽化が進行する中,道路管理者においては,限られた予算・人材によって効率的な維持管理が求められている.本研究で開発したシステムは,ドライブレコーダーやGPS機能付き加速度ロガーなどのICT機器,および貨物商用車の走行データ(商用車プローブデータ)を活用し,収集したデータをアップロードすることで地図上に道路の情報を表示することができる.ドライブレコーダーのデータはAIを用いて舗装面のひび割れ率の算定および道路上の物体検出が可能である.また,全国道路施設点検データベース(xROAD)のAPIキーを登録することで,舗装の点検結果をシステム上で確認できる.xROADデータを含む収集データは地図やグラフ上に重ね合わせて表示でき,道路の経時変化や損傷状況等の重要情報の可視化を実現する.これらの機能は,道路管理者による維持管理業務の効果的かつ効率的な実施を支援する.

  • 長谷 歩香, 太田原 和基, 山口 治
    2025 年2 巻1 号 p. 10-13
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/02/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

     既存インフラ構造物の維持工事では,梱包量が小さく多種・多様の材料を施工直前に現地で練り混ぜて限られた施工時間で使用するため,これまでは品質情報の実現可能な管理方法として代表値管理が行われていた.今後は維持工事後の管理を見据えて使用材料の全数管理が必要との考えから,品質管理情報の収集・管理を一元管理できる補修材料のトレーサビリティシステムを過去に開発して運用している.その後の現場適用で施工管理の効率化などの効果が見られた一方で,更なるシステムの効率化,ユーザビリティの向上,運用及び普及展開戦略の改善といった課題も明らかになった.これらを改善するためにシステムの改良の検討を行ったので報告する.

  • 松田 昂大, 畑中 大地, 津田 誠, 廣井 幸夫
    2025 年2 巻1 号 p. 14-17
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/02/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

     2022年5月の国土交通省の報告によれば,全国には約9700橋の管理者不明橋が存在している.これらは5年ごとの定期点検の対象から外れており,性能が低下したまま適切な処置が実施されていない可能性がある.よって,構造物の品質低下(健全性,耐荷性能等)が懸念されるなど,利用者にとっての危険性が高い.そこで本稿では,ある管理者不明橋を対象に,鉄筋コンクリート床版の耐荷性を評価するための各種試験(載荷試験,小径コア試験等)を実施し,当時の設計基準以上の値を確保していたことから,現時点で緊急の補修対応や通行規制等の必要性は低いことを確認した.

  • 後藤 幹尚, 中野 主久, 遠藤 義英, 山岸 貴俊, 金澤 悠太, 俵谷 保男, 岩﨑 篤, 岩波 光保
    2025 年2 巻1 号 p. 18-23
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/02/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

     近接目視を基本とした橋梁の維持管理においては,構造物内部に生じている劣化や損傷等を十分に把握することが難しいため,予防保全型の維持管理への転換には課題がある.この課題を解決する手法の一つとして,加速度センサを用いたモニタリング技術を活用して橋梁の維持管理に取組んでいる事例がある.そこで本稿は,近接目視点検では劣化や損傷の把握が困難な部位に着目して,加速度センサを用いたモニタリング技術を活用した橋梁の維持管理の導入に向けた取組みについて報告する.

  • 佐藤 和久
    2025 年2 巻1 号 p. 24-25
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/02/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

     1.はじめに

     鉄道において,構造物を調査することは安全を確認するために必要不可欠であるが,同時に多くの労力を要している.今後の人口減少を考慮すると,鉄道の持続的な安全の確保の観点から構造物調査の省人化が重要な課題の一つとなっている.本稿では,鉄道構造物の内,鋼橋における現地目視での調査の省人化を目的に,画像による調査へ置換えた際の変状確認精度について検証したのでその結果について示す.

  • 遠藤 義英, 中野 主久, 山岸 貴俊, 岩崎 篤, 津野 和宏
    2025 年2 巻1 号 p. 26-29
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/02/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

     本研究では,アルカリシリカ反応(ASR)が橋梁の剛性に与える影響を評価するため,ASRが疑われる縦ひび割れの発生している橋梁と発生していない橋梁の振動特性を比較した.各橋梁の加速度データから固有振動数および活荷重たわみを算出し,曲げ剛性EIを推定した.解析の結果,固有振動数から算出した曲げ剛性と活荷重たわみ量から算出した曲げ剛性は一定の相関がみられ,また道路橋示方書に従い図面から算出した設計上の曲げ剛性との比較では,全橋梁で相関が得られた.また実測値から算出した曲げ剛性が設計値を上回ったことから,供用開始以降の顕著な剛性低下はないと考えられる.本手法により,短時間の簡易計測のみで橋梁の剛性推定が可能となり,目視点検に加えることでより定量的な健全性評価が可能となり維持管理水準の向上が期待できる.

  • 金子 天翔, 村田 泰章, 今井 雄介
    2025 年2 巻1 号 p. 30-33
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/02/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

     上越新幹線は開業から40年以上が経過し,各種線路設備の更新工事を計画的に進めている.中でも,新潟駅構内のシーサースクロッシングは開業時から木まくらぎが敷設されており,2022年から合成まくらぎ化工事に着手している.本稿では,シーサースクロッシングに敷設されている長まくらぎを,高架上という限られたスペースで交換するため,新潟新幹線保線技術センターで取り組んだ内容を紹介する.

  • ビスワスラジブクマル , 三澤 孝史, 齋藤 隆弘, 岩波 光保
    2025 年2 巻1 号 p. 34-38
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/02/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

     超高強度繊維補強コンクリート(UFC)は劣化したコンクリート構造物の補強手段として有用であり,多くの機関で研究が行われている.本研究では鉄筋が腐食したRC柱の効果的な補強方法を検討した.軸方向鉄筋を電食により腐食させたRC柱のかぶりコンクリート(厚さ50mm)をUFCで置換し,1N/mm2の軸方向応力を試験体に加えて正負交番載荷実験を実施した.この結果,上記補強を実施した試験体の最大耐荷力は基準試験体の耐荷力を上回るなど,本手法の有効性が確認できた.

  • 沼田 直子, 中田 宏美, 阪口 美香, 小野瀬 崇
    2025 年2 巻1 号 p. 39-44
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/02/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

     (一社)土木技術者女性の会・(一社)茨城県建設業協会建女ひばり会・石岡市は,小中学生とその保護者を対象に,2021年から橋のセルフメンテナンスをテーマに次世代育成や地域住民連携につながるイベントを開催している.

     橋などのインフラの老朽化が社会問題となっているなか,地域の住民が自ら橋などのインフラを点検して管理する取組みが注目されている.ここでは,日本大学工学部の住民主体型橋梁セルフメンテナンス「橋のセルフメンテナンスふくしまモデル」の開発者の支援を受け,茨城県石岡市が管理する橋梁を対象に,茨城県内に在住・勤務する建設産業の女性従事者が連携して行った点検体験イベントを紹介する.イベントに参加した小中学生や保護者の方々に興味を持ってもらえたことはもちろんのこと,簡易点検チェックシートやペーパークラフトなどの教材を用い小中学生や一般住民にわかりやすく伝える工夫や説明ツールの充実を図る試行錯誤は開催団体相互の学びあいの機会となり,地域のインフラのセルフメンテナンス意識醸成にもつながった.

  • 川﨑 貴志, 大越 雄太郎, 佐藤 祥真, 横町 尚享
    2025 年2 巻1 号 p. 45-48
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/02/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

     JR東日本では新幹線地震脱線対策の一環としてレール転倒防止装置の敷設を進めているが,東北新幹線における一部のトンネル区間内において路盤隆起の影響により敷設が難しい箇所がある.敷設にはCAモルタル(以下,CAM)を全面除去したうえで,軌道スラブを低下する施工(以下,スラブ低下)が必要となるが,当該箇所でスラブ低下を試みたところ,軌道スラブ下面にCAMが付着し,既存の方法での除去が困難であったため,新たな工法によりスラブ低下を行う必要が生じた.軌道スラブ下面側に付着したCAMの除去が可能な施工方法として,ウォータージェット(以下,WJ)を用いた工法の検討及び実施工を行った結果,軌道スラブ下面のCAM全面除去や,必要な付帯作業を含めた全工程を作業時間帯での施工が可能である知見が得られたことから,新たなスラブ低下の施工方法としてWJ工法を提案する.

  • 多々良 勇貴, 村山 光, 吉田 隆浩
    2025 年2 巻1 号 p. 49-52
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/02/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

     経年劣化により,コンクリート片の落下や倒壊の危険性のあるこ線橋の撤去工事を実施した.こ線橋は新幹線線路上空に位置しており,終列車から初列車までの作業時間の制約や架線が密集する環境的制約があるなかで課題に対して検討・実施し無事撤去工事を完遂した.

  • 津野 和宏
    2025 年2 巻1 号 p. 53-56
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/02/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

     本レポートは,地方自治体のインフラメンテナンス業務に大学生および教員が同行,協働することにより,将来のインフラメンテナンス業務に携わる土木技術者の育成を図るとともに,安価かつ簡易で,効果的な点検や診断に資する手法の開発を目的とした取り組みについて,報告するものである.国士舘大学理工学部理工学科まちづくり学系(土木)では,令和3年度から継続的に,在籍する4年生数人からなるチームを編成し,青梅市土木課の担当者の指導を受けながら点検やデータ整理を行ってきた.この活動の中で,簡易な手持ち装置を用いた桁下点検,竣工図のない橋りょうの図面作成や交差点舗装の損傷順位付け,簡易なGISデータベースの作成などに関する手法について,試行,提案した.

  • 後藤 朋子, 後藤 幹尚, 永野 尚保, 岩波 光保
    2025 年2 巻1 号 p. 57-61
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/02/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

     老朽化インフラの増加に伴い,維持管理・更新費の増加が懸念されており,今後,少子化・超高齢社会の影響等により,インフラの老朽化対策として充当できる財源確保がより厳しくなることが予測される.

     本稿では,持続可能な道路管理を実現していくため,老朽化対策の一つとして考えられる集約・撤去や橋の重要度の判断材料として,スマートフォンの位置情報による人流統計データを用いて道路橋の利用状況を可視化し,データ分析結果について橋梁長寿命化修繕計画を立てる上での一つの指標として活用することについて報告する.

  • 石橋 奈都実, 浅野 和香奈, 岩城 一郎
    2025 年2 巻1 号 p. 62-65
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/02/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

     近年,高度経済成長期における集中整備に起因する社会インフラの老朽化が問題となっている.特に小規模な市区町村が管理する道路橋は数多く存在するが,限られた職員数と予算の中で維持管理を行う必要があり,厳しい状況に直面している.本稿では,全国の市区町村が管理する道路橋がおかれている状況を人口および管理橋梁の健全性から分析し,人口の少ない小規模な自治体を対象に,主に性能評価に着目した事後保全段階から予防保全段階への転換するための技術のパッケージ化の検討を報告した.

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