2015 年 71 巻 2 号 p. I_109-I_115
コンクリート構造物の詳細調査には,一般的にコンクリート・コアの力学特性が用いられる.本報では,AE法とX線CT法を用いてコンクリート損傷度評価を試みた結果を報告する.実験に供試したコンクリート・コアは,凍害損傷が顕在化した開水路施設より採取したものである.ひび割れ損傷をX線CT法により同定した後に,AE法を援用した圧縮破壊過程の特性から損傷度を評価した.検出したAEは,コンクリート損傷と密接に関連し,AEレートプロセス解析により評価可能であることが明らかになった.ひび割れ損傷の特性は,空間統計パラメータを用いてX線CT画像から抽出した.その結果,ひび割れ損傷の蓄積は,空間統計パラメータとAE計測結果との比較から評価可能であることが明らかになった.このことから,コンクリート中に発達したひび割れ損傷の特徴量をX線CT画像の空間統計パラメータにより同定し,AEとの比較から損傷度評価が可能になるものと考えられる.