2015 年 71 巻 2 号 p. I_99-I_108
既存橋梁の妥当なモデル化には,経年劣化によるモデルパラメータの不確定性を取り扱う必要がある.本研究では特に,橋梁支承部の腐食による機能劣化過程を対象とし,パラメータ事後分布を逐次計測データから推定し,その機能を評価してモデル妥当性を論じることの有効性を検証した.実験にて梁供試体の鋼支承部材の腐食促進を行い,各段階で静的載荷によりひずみデータを取得した.それらを用いて,梁供試体の有限要素モデルについて,各腐食段階でのパラメータ事後分布をベイズの方法により推定した.その結果,特に支承部の摩擦係数の事後分布にて,腐食促進に伴う支承機能の変化を捉えることができた.既存橋梁の妥当なモデル構築において,計測データを用いて推定するモデルパラメータの事後分布から劣化状態やその進展を考慮できる可能性を示した.