抄録
寒冷地では冬季の地盤凍結に伴って様々な工学的問題が発生する.過去に起きたガス管の重大な破損事故でも古い種類のガス管だったことに加え,地盤の凍結で埋設管に作用する応力が増大したことや,除排雪作業の振動や荷重が大きく作用した可能性が指摘されている.また,寒冷地でも老朽化した水道管の更新コスト削減を目的とした浅層化も試みられている.しかし,周辺地盤の凍結で地盤内応力がどの程度変化するのかについて検討した例は極めて少ない.
そこで本研究では,舗装路下にある水道管周辺の詳細な温度分布や常時の土中土圧,更には車両通過に伴う増加応力の季節変化を計測し,それらが地盤の凍結融解で変化することを明らかにした.また,車両通過による変化については,多層弾性理論を用いた応力解析によってある程度表現できることも分かった.