2022 年 28 巻 2 号 p. 188-192
症例は66歳,男性.C型肝硬変および肝細胞癌に対して加療中,病勢の進行に伴い腹水が憎悪,腹満が増強し,コントロール困難となったことから腹腔-静脈シャントを留置した.留置後にいったんは腹水のコントロールが得られたが,術5か月後より腹満が再燃した.CTにて腹水の増加と上大静脈内に位置するシャントチューブ先端に連続して3 cm大の血栓と考えられる滴状の陰影を認めた.陰影は右房内へ進展しており,シャント留置後に合併した上大静脈内血栓と診断した.Direct oral anticoagulantsであるリバーロキサバン内服による抗凝固療法を導入したところ,経時的に血栓の退縮を認めた.その後,肝細胞癌および肝不全の進行に伴いシャント留置9か月後に永眠された.腹腔-静脈シャント留置後の上大静脈内血栓の合併はまれであり,自験例は経時的に画像を追跡しえた貴重な症例と考えられ,文献的考察を加えて報告する.