抄録
停滞した流れ場の水質改善を目的として,流水断面にスリットを設けた横断壁を設置し,流路を狭めて流れを加速する連続スリット壁を考えた.連続スリット壁のパラメータとして,スリット位置,スリット幅,流下方向間隔を変化させ,流れ構造の変化についてPIV実験により検討し,この結果を元に溶存酸素濃度に及ぼす影響について数値計算により検討した.スリット壁の設置により,高速な蛇行流とこれに伴う再循環流量域が形成された.スリット壁間の流速は,開口率の減少とともに増大するが,スリット位置が側壁へ近づくほど増大した.スリット壁を越流する場合は,スリット壁間の平均流速は著しく減少し,流れは3次元的となり,鉛直方向流速は大きくなった.水深平均2次元の数値計算は,非越流のスリット壁間の流れ構造を良好に再現し,溶存酸素に関しては,再循環渦内で溶存酸素濃度が増大し,滞留域が大きいほど全体としての濃度も増大することが示された.