2018 年 74 巻 2 号 p. I_513-I_522
本研究では鋼鈑桁橋を対象とした走行車両による振動実験を行い,人工損傷前後の橋梁の振動特性の変化について検討を行う.振動特性同定手法には確率部分空間法(SSI)を用いて,Stabilization Diagram(SD)により安定的な振動モードを抽出した.人工損傷として鋼鈑桁橋桁端部の亀裂を摸擬し,振動特性の確率分布の変化により異常検知の可能性が確認された.特に損傷による曲げ1次振動数の増加が観測され,同定される振動特性の変動のメカニズムを解明するために,損傷による境界条件の変化の固有振動数に対する感度解析を行った.損傷による曲げ1次振動数の増加の原因は,損傷による支承部の境界条件の変化である可能性が高いことが確認され,橋梁における疲労亀裂などの損傷を考慮する際には,支承部の機能についても十分把握することが重要であることがわかった.