2019 年 75 巻 2 号 p. I_31-I_40
CFRP 板で接着された鋼板において,接着剤の弾性特性の空間的に不規則な変動を想定し,接着剤の主応力の空間不規則変動について考察する.まず,接着剤の縦弾性係数,せん断弾性係数と Poisson 比が相互に統計的相関を有するような空間一様な確率場であるものとし,静力学的方程式を空間変動型の確率微分方程式に拡張する.次に,計算機シミュレーションにより解のサンプルを生成するスキームを構築する.この手法により接着剤の最大主応力の確率分布を推定し,接着剤のはく離発生確率の数値評価に応用する.この結果,接着剤の最大主応力の従う分布は正規分布で最も良く近似できること,はく離発生確率は弾性係数間の相関係数にはあまり影響を受けないこと,などを明らかとした.